鉱物とは岩石の構成単位であり、地球物質科学を研究する上での最も基本となる研究対象である。我々が手にすることのできる地球の岩石や隕石の構成物質(造岩鉱物と呼ばれる)を対象として、原子レベルの視点からそれらの特性を明らかにするのが鉱物学である。同時に、鉱物の生成過程を追及することによって地球や惑星の形成史を解明しようとする地球・惑星科学の基礎分野の一つである。一方、鉱物の無機材料としての特性が明らかになることにより、その鉱物が社会的に広く利用されるようになった例は、たとえば水晶の圧電現象が時計などの発振子としていまや広く応用されていることなど枚挙に暇がない。このことは鉱物学が物質科学としても重要な側面を持っていることを示している。
鉱物の特性を明らかにするための研究手段は、現在ではきわめて多岐にわたっているが、本研究室では、組織観察・再現実験・理論を3本の柱として、造岩鉱物の形成に関する総合的な研究を行っている。その3本柱の中で最も基本視しているのは天然鉱物の組織観察であり、その手法として物質科学の先端的な研究技術である分析装置付き高分解電子顕微鏡・電子線プローブアナライザー(EPMA)・X線分析顕微鏡・X線回折装置・カソードルミネッセンス顕微鏡などを駆使して、原子レベルでの観察を主体としている。とくに、原子レベルで鉱物の構造の乱れや化学組成の不均質性を明らかにする研究では、当研究室の成果は国際的に高く評価されている。また、再現実験としては、実際の鉱物に関して高温・高圧実験を行うことや、コンピューターによるシミュレーションを行っている。さらに、結晶成長に関する理論的な研究も行っている。これらの研究を通して、造岩鉱物の生成過程やその後の熱・応力履歴を明らかにすることを目的にしている。



